これからが、それぞれの音をトリートメントし、かつバランスを調整するという地道な作業「ミックスダウン」であります。ましてや今回は電子楽器ではなく、人間のグルーブ・ダイナミクスがむき出しの全編アコースティック楽器。ピャー
当初、私はそれぞれの音の輪郭をカリッとさせて音圧高め、ドライでリバーブ少なめできっちりかっちりと作り上げる感じのミックスで進めていました。
数曲、そのスタイルでの仮ミックスを聴いていただいたところ、「ちょっとコンプやリミッターかかりすぎかも」という感想。むぅ、確かにこの楽曲や演奏の良さを活かすのは音圧よりも空気感。いや本当の理想は空気感を持たせつつ、音圧もしっかりと稼ぐことなのだけど、私にはその技術が無~い(涙)。
そこでカポウさん立ち会いの下、コンプを外し、あるいは極力薄くし、バランスと空気感を重点にミックスを進め「この方向性がイイね!」ということを確認して、その後を進めることが出来ました。
(地味な作業なり) |
音をひとつひとつバラバラに立ち上げてマイクプリを通し直したり弦楽器のアタックを抑えたり色々なことしながら整えていきました。その中ではノコギリが難しかった!あの豊かで何とも言えない音。そしてマイク4本のウッドベース!
(4本のマイクあるの分かります?) |
しかしこんなにコンプやリミッターを使わなかったのは初めて!「空気感と音の良さはバッチリ、でも音圧は低めですボリューム上げて聴いて下され」という仕上がりになったと思われるっ。
ミックスが9割程度仕上がったところで再度カポウさんに立ち会ってもらい、各楽器のバランスや空気感の細かな修正を入れていきました。その段階でサキタハヂメさんからの音が届き、「またあした」に加えて聴き、はぁ~うっとり!
曲順が決まり最終マスタリングも済ませ、無事にマスターCDをカポウさんに渡せた時(納期ギリギリでしたが汗)は思わず握手。
いやはや、いかに自分が未熟かということが思い知らされたレコーディングでした。こんな私のエンジニアリングやミックスにお付き合いいただいたプレイヤーの方々、そしてカポウさんに感謝。
レコーディングスタジオやエンジニアって「プレイヤーの人がストレスなく気持ち良く演奏に集中できる環境を整え続けること」ということが当たり前の大きな役割だということを再認識させられました。これからも、技術はまだ未熟だけどそのことを意識してお手伝いがしたいと思う次第。
完成した作品、是非聴いて欲しいなぁー。